こんにちは管理人の遠藤です。(@owner_shopendo)
少し時間がたってしまいましたが10月22日(日)に渋谷アップリンクさんで上映された映画「ソニータ」を観てきました。
サンダンス映画祭2016ワールドシネマ部門グランプリ&観客賞ダブル受賞 アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭(IDFA)2015 観客賞 シェフィールドドキュメンタリー映画祭2016ヤング審査賞
ご存知の方もいらっしゃることと思いますがこの映画は世界中の映画祭で観客の心を奪ったドキュメンタリー映画です。
「ソニータ」はアフガニスタン出身16歳の難民少女
主人公は、アフガニスタンのタリバンからイランの首都テヘランへと逃れてきた難民であり不法移民のソニータと言う16歳の少女。
保護施設に援助をしてもらいながらカウンセリングや将来のアドバイスを受けつつ生活をしている少女ソニータの夢は、いつか大スターになって大勢の観客の前で歌うこと。
そんな夢を16歳の少女はスクラップブックに「夢ノート」として描く毎日をすごしている。
自分のなりたい姿、憧れの姿をスクラップブックに貼って想像し、希望を抱きながら暮らしているのだ。
ソニータが通う保護施設には彼女と同じような立場の少女たちが多く通ってきている。
そしてその少女たちの多くが家庭の負担を軽減するために自分の親により児童婚(18歳未満で結婚をする)を迫られ「見知らぬ男に嫁がされる」そんな現実。
ソニータもまた例外ではなく彼女の家族もまたほかの少女たちと同様に「見知らぬ男に嫁がせる」そんな結婚の準備をしていた。
彼女の兄を結婚させるための資金が必要だからだ。花嫁ソニータの値段は9.000ドル・・・しかし結婚よりも歌うことを望むソニータ。
女性だけで公の場で歌うことも禁じられている環境の中、歌手になる夢など到底かなうはずもないと思えてしまう。
また、難民と言う不安定な生活と古くからの習慣等いろいろな要素が絡まりソニータの未来には全く光が見えない。
祖国を逃れ、不法移民として隣国でひっそりと暮らす少女に捉え所のない現実が次々と襲う。
今の日本では想像ができない事だろう。しかし実際にある話なのだ。
もし自分だったらとおきかえてみたらきっと、夢見ることすら、いや生きることすらあきらめてしまうかもしれないと思えて切なさがこみ上げてきました。
「ソニータ」は、苦境の中でも夢を信じることをあきらめない
そんな16歳の彼女は歌(ラップ)と出逢った、歌うこと。そしてその歌で自分の内なる思いを表現するのであった。
彼女はそんな凄まじい現実の中でも夢見ることをあきらめず、自分の気持ちを歌にのせて表現し続けることをやめなかった。
日本人である私たちにとって「難民」と言う言葉はとても遠い気がしてしまいます。
テレビやラジオのニュースで取り上げられ知識として知ってはいても彼らの本当の姿は知らないと言う人も多いと思います。私もまた、そんな一人です。
目まぐるしく押し寄せる仕事の山や情報の渦の中で日々過ごしている私たちは、自分にとってリアルではないものは、注目しないし、なんとなく流してしまっているのではないでしょうか。
映画「ソニータ」を観ると難民と言う問題、そしてその人々の生活がリアルにわかる。
そして知らなかった遠くの国の出来事が身近に感じられ一気に心の距離が縮まり少し身近な問題として受け取れるようになる。
映画の後半でソニータが”売られる花嫁”というタイトルのラップを歌うシーンが出て来るのだがその場面は圧巻で言葉は分からないのだが映像と声から心に迫るものがあり胸がいっぱいになりました。
「夢を信じるこの強い力はどこから来るのだろう」自分の人生を生きていくんだという信念。非常に厳しい現実の中でもソニータは明日を信じて夢をあきらめず自分の信じた道を突き進んでいく。
歌うことで自分の人生を表現し、自分と同じような立場の少女たちの人権擁護を彼女の人生の目的として見出したソニータのあふれ出るパワー。
人生に悩める多くの大人たちへも「自分の生きる目的や価値観を確立していく事の大切さ」というメッセージを投げかけている。
フォトジャーナリスト安田奈津紀さんとのトークタイム
この日は、映画上映後にスペシャルゲストでフォトジャーナリストの安田奈津紀さんとこの映画の配給会社であるユナイテッドピープル代表の関根さんのお二人によるトークタイムがありました。
安田奈津紀さんは、皆さんご存知の通りカンボジアを中心に東南アジア、中東、アフリカなどで貧困や難民の問題を取材なさり、テレビやラジオなど多方面でご活躍なさっているフォトジャーナリストです。
映画「ソニータ」を通して紛争・貧困を考える。
安田さんは16歳の時(この映画の主人公と同じ年齢の時)に「国境なき子どもたち」友情レポーターとしてカンボジアへ行かれたそうです。
今回の映画「ソニータ」のテーマの一つでもある人身売買の被害にあった子供たち(トラフィックト・チルドレン)の取材をしたことが自分の今の仕事の原点になっていると話されておりました。
世界の様々な場所で引き起こされている戦争・紛争その中でいつも翻弄されるのが罪なき小さな子どもたち。
住む場所を失い、食べるものにも事欠くいわゆる「貧困」を強いられる子どもたち。このことはもちろん大きな問題であります。
しかしこの「貧困」の最も大きな問題は「機会の欠如」「選択肢のない現状」ではないかと投げ掛けてらっしゃいました。
映画「ソニータ」でも自分の親により児童婚(18歳未満で結婚をする)を迫られ「見知らぬ男に嫁がされる」と言う問題を取り扱っています。
多くの子どもたちが自分の未来を選択できない、閉ざされた生き方を迫られるという問題を映画「ソニータ」では映し出されています。
映画「ソニータ」を通して考える「平和」の定義とは
ソニータたちの様な「機会の欠如」や「選択肢が存在しない現実」に直面しない事、一人一人に選択肢が存在しうること。
それは「平和である」と言い換えることができるかもしれない。
この映画「ソニータ」は私たちに「平和」とは何か、そんな問題を投げかけてもいるのではないでしょうか。
配給会社ユナイテッドピープル代表の関根さんが映画の主人公ソニータからのメッセージとして伝えてくれた言葉があります。
「どうか映画を観て終わらせないでください。私の様な第2・第3のソニータがたくさんいるのです。どうか行動を起こしてください。」
安田奈津紀さんは、トークの最後にご自分がかかわってらっしゃるイラク・クルド人地区の避難民の声として次のように語られていました。
「私たちが置かれているこの状況を訴えかけても世界に自分たちの声が届かない、世界は私たちに関心を寄せていない。それが自分たちを追い詰めるのだ」
まとめ 映画「ソニータ」を観て私たちができること
映画「ソニータ」の主人公のソニータは、自分の過酷な現体験をラップと言う音楽にのせ表現し、世界に訴えかけています。
また、安田奈津紀さんは、現地の人から聞いたこと、頂いた言葉を受け取って写真と共に伝えていくことが私の表現方法だと話されていました。
では、自分はと考えた時に一人一人できることは違う、例えばある人は、医療の専門家として現地へ赴く、またある人はボランティアとしてお手伝いする。
また、お小遣いの中から少し募金をするのもできることの1つでしょう。そして、何よりも世界の声に無関心にならず、関心を寄せること。
無関心を関心に変える努力をしなくてはいけないと自分に問いただすきっかけにもなりました。
そして、これもまた、大切な行動の1つなのではないでしょうか。一人でも多くの人にこの映画が届くことを願いながら・・・
【引用元】※1)~5)映画「ソニータ」公式サイトより
【映画「ソニータ」上映スケジュール】
上映場所 | 劇場名 | 上映期間 |
東京都 | アップリンク渋谷 | 2017年10月21日(土)~ |
神奈川県 | シネマジャック&ベティー | 2017年11月11日(土)~ |
愛知県 | 名古屋シネマテーク | 未定 |
大阪府 | 第七藝術劇場 | 2017年12月9日(土)~ |
兵庫県 | 豊岡劇場 |
2017年11月11日(土)~ 11月24日(金) |
兵庫県 | 神戸アートビレッジセンター |
2017年12月9日(土)~ 12月22日(金)※火曜日定休 |
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